試し読み ー 違和感は新天地からの招待状


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本書の冒頭 「はじめに――不毛な忍耐ゲームはもうやめませんか?」

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はじめに――不毛な忍耐ゲームはもうやめませんか?

「つらくても、あなたの前にあらわれた問題から逃げてはいけない」という言葉をよく聞きます。
「あなたに乗り越えられない問題があらわれることはないのだから、あなたならできる、がんばって」という励ましや、
「試練から逃げる人はどこに行っても同じ壁にぶつかる」という説教もよく聞きます。
しかしそれは、本当に正しいことなのでしょうか。

今の日本では、つらいことがあっても逃げることをよしとせず、途中棄権を許さないという同調圧力が高まり過ぎているように感じます。
居心地の悪い環境で神経をすりへらしながら、ド根性を発揮して問題を乗り越えなければならない理由はなんなのでしょう。
心と体が悲鳴をあげているのを無視して、休む時間も眠る時間も削って、問題解決に尽力する……これはいったい何の罰ゲームなのでしょうか。
問題を乗り越えて前に進むことしか認められない。
そのような生き方を続けていると、人生のすべてが苦行になってしまい、最後には生きる喜びも希望も枯れ果ててしまうだけではないでしょうか。

近年の日本では年間3万人前後の自殺者がいます。(※1)
ここ5年ほどの自殺者数は減少傾向にありますが、それでも平成26年の自殺者は約2万5千人です。
毎日70人ちかくが、自らあの世へ亡命していることになります。
統計に計上されていない自殺者も含めると、その数はもっと多くなるでしょう……
うつ病、不安障害などの精神疾患と診断された人も2百万人を超えています。(※2)
医療機関で診断を受けていない患者も含めると、その数はもっと多くなるでしょう……

どうしてそんなに苦しんでいる人が多いのでしょう。
国の統計データでは、健康問題、勤務問題、経済・生活問題……様々な理由があげられています。
しかし結局のところ、
「途中で逃げてはいけない」
「つらいことに背を向けずに忍耐強くがんばらなければならない」
という圧力に逆らえなくて、居心地の悪い環境にとどまり続けてしまったことが、心の病を生んでしまった最たる原因ではないでしょうか。
心の病に苦しむ人は、なんらかの理由で、心を苦しめる問題から逃げることができず、限界を超えるまでがんばり続けて、燃え尽きてしまった人だと思います。
各人が、もっと早い段階で苦しい状況から逃げるという選択をしていれば……心がつぶれることもなく、あの世へ亡命することもなかったのではないかと思えてなりません。

幸い、今の時代は一昔前に比べれば、心が苦しいときに、心理療法のヘルプを求めることが気軽にできる世の中になってきています。
けれども、個人レベルではまだまだ、石の上にも三年という類の我慢文化が根強く残っている場面もあります。
今なお「逃げる、避難する、距離を置く、棄権する、放棄する、あきらめる、撤退する」という行為を許さない風潮があります。
問題から逃げる人を「恥知らずだ、負け犬だ、人生の落伍者だ、二度と社会復帰できない奴だ」と外野から非難する人もいます。
逃げて生き恥をさらすぐらいなら、いさぎよく死んだ方がマシという切腹文化の名残もあるのかもしれません。

わたしは、つらいことがあっても逃げてはいけないという根性論には賛同しかねます。
わたしは、「これ以上は無理だ、嫌だ、何かおかしい、もうやってられない」と感じたら、途中で投げ出します。
苦しい環境に長居して消耗してしまうよりは、さっさと逃げて恥をかいて非難される方がマシだと思っています。
がんばって消耗して死んでしまってはなんにもならないからです。
わたしの占いのクライアントさんにも、自分に合わない環境からはすみやかに離れることを推奨しています(占い結果を見ても、その環境でがんばりなさいというメッセージより、そこから離れなさいというメッセージの出現率の方が圧倒的に高いです)。

逃げてはいけない根性論の犠牲になりやすいのは、まじめな人、誠実な人、素直な人、従順な人、心が繊細な人……いま本書を手にしてくれているあなたのような人です。
まじめで善良な人が、笑顔でのびのびと生きられる世の中になってほしいものです。
そこで本書では、自分に合わない環境からさっさと離脱することの大切さとメリットを、実例をまじえながらお話していきます。
本書の内容はすべて、わたし自身が身をもって学んだことと、わたしが直接会った人から聞いたお話をもとにしています。
逃げてはいけない根性論の圧力をはねのけて、苦しい環境から離れることでハッピーになった人が現実にたくさんいます。
ですからあなたも、時代錯誤な根性論に惑わされないで、あなたにとって本当にハッピーな環境を選んでください。

本書が、苦しい環境にとどまり続ける人を新天地へ導いてくれますように。
あなたに合った環境で幸せに活躍できますように。
あなたが適切なフィールドで本領を発揮して、周りの人をも幸せにできますように!

ルーン魔女KAZ

※1 内閣府WEBサイト「自殺の統計 平成26年の状況」
※2 厚生労働省WEBサイト「みんなのメンタルヘルス:精神疾患の患者数(平成23年)」